Vadim Gladyshev
旅で出会った100人以上のひとり

Vadim
Gladyshev

Harvard Medical School · Brigham and Women’s Hospital
老化の比較生物学 — そして「理解できていない」と言える誠実さ · ボストン

レベル2 · バイオハッキングバイオハッキング・アップグレード老化時計、ダメージ、そしてどんな介入でも本当に狙うべきものは何か。
レベル1 · 基本長寿の基本休息、睡眠、回復 — 説明できるようになるべきだとVadimが考える、日々の若返り。
Vadimが探求する長寿マップのレベル
約12年
祖先の哺乳類の寿命 — 自然はそれを両方向に動かした
10–40%
マウスの実験で得られた最大の寿命延長
2–3%
人間で達成できている延長
0
本人によれば、老化についての現在の理解
Vadim Gladyshevとは

「わからない」— 誰よりも知っているはずの人の言葉

Vadim GladyshevはHarvardで研究室を率い、老化の比較生物学を研究しています。対象はモデル生物 — 主にマウス — と、ルールを破る種、つまりクジラ、ハダカデバネズミ、コウモリ。さらに人間のコホート、組織、細胞にも及びます。比べることこそが要なのです。

そのひとつは、静かに驚かされる事実です。体のなかの細胞は、同じゲノムと同じ祖先細胞を共有しているのに、寿命がまったく違うのです。絶えず入れ替わる細胞もあれば、ニューロンや心筋細胞のように一生もつはずの細胞もあります。同じ設計図、同じ生物なのに、長寿の度合いはまるで違う。それを説明できるものがあれば、ほかの多くのことも説明できるはずです。

Vadimの老化の定義は、生きていることから生じる負の変化の蓄積です — 分子のダメージ、変異、代謝の副産物、そのほかの無秩序化。ただし、そこから何が導かれるかについては、安易なことを言おうとしません。敵は何なのか?介入は何を狙うべきなのか?ダメージなのか?プログラムなのか?機能なのか?Vadimは、機能は物差しとして当てにならないと指摘します。認知機能は一日のうちに十年分ほども揺れ動きますし、筋肉も認知機能もトレーニングで高められます。それで若返ったことになるのでしょうか?この問いにはまだ答えが出ていない、というのがVadimの考えです。

そして、この分野全体を揺さぶるはずの比較があります。自然は哺乳類の寿命を大きく変えてきました — およそ十二年生きた祖先の動物から、寿命を縮めた種もあれば、大きく延ばした種もある — しかも、どうやら簡単に。ところが、実験室では失敗する。カロリー制限、ラパマイシン、生活習慣。マウスでは十パーセント、二十パーセント、ときには四十パーセント。人間ではおそらく二、三パーセント。自然がしていることは、私たちがしていることとは違う — それがVadimの結論です。

そして、このページのタイトルになった言葉。Vadimはそれを大げさにではなく、現場の科学者として証拠の現状を述べるように口にします。私たちはいま、老化を理解していない — そうではないと言う人も、狙い方を知っていると主張する人も、間違っている、と。

老化の比較生物学 Harvard Medical School ダメージ & 老化時計種を超えた寿命
Live Beyondのインタビュー中、研究室にいるVadim Gladyshevのポートレート
ボストン · 2024年11月

ボストンの研究室で

出会った場所

私たちはボストンにあるVadimの研究室で撮影し、さらにVadimが運営に関わるHarvardのBiomarkers of Aging会議でもあらためて撮影しました。マレクは、長寿の動物 — クジラやハダカデバネズミ — の話をあえて避けました。アレクサンダーが自分で聞きたがっていたからです。代わりに得られたのは、研究成果の一覧よりもずっと貴重なものでした。第一線の科学者が、いまだにわかっていないことの大きさを丁寧に説明してくれたのです。

研究室
ボストン、2024年11月
マウス、クジラ、コウモリ、デバネズミ — そしてそれと並んで、人間のコホート。
Biomarkers of Aging
Harvard
Vadimが運営に関わる会議。ここでもう一度撮影しました。
比較
種を超えて
自然は寿命を簡単に動かす。私たちの最善の介入は、ほとんど動かせない。

「私のいちばんの目標は、老化を理解することです。… 理解せずに狙うことは不可能ですし、いま、老化はまだ理解されていないんです。」

— Vadim Gladyshev、ボストン
本人の言葉

狙う前に理解する

「理解しているとか、狙い方を知っているとか言う人がいたら、それは間違いです。私たちはわかっていません。」

Vadim Gladyshev · Harvard、ボストン

同じ生物の細胞なんです。… ゲノムは同じなのに、寿命はまるで違う。どうしてそんなに寿命が違うんでしょう?

Vadim Gladyshev

私の考えでは、老化とは生きることによる負の変化の蓄積です。分子のダメージのようなものですが、それだけではありません。

Vadim Gladyshev

機能はとても変わりやすいんです。たとえば一日のなかでの認知機能の変化を見ると、朝から晩までで十年分くらい揺れ動きます。

Vadim Gladyshev

自然は、遺伝子やほかのプロセスの何かを変えて、こうした寿命の劇的な変化を、どうやら簡単に成し遂げてしまう。それなのに、私たちが実験室でやろうとすると失敗するんです。

Vadim Gladyshev
本人の言葉で

インタビューからそのまま

ボストンでの会話から — Vadimが本当に知りたいこと、わかりやすい物差しを信用しない理由、そして進化と実験室のあいだにある溝。

自分の体のなかにある問い

ニューロンや心筋細胞は一生もつはずの細胞です。ほかの細胞は絶えず入れ替わっています。同じゲノム、同じ生物、同じ祖先細胞 — なのに寿命は桁違いに異なる。Vadimはこれを、生物学で最も多くを教えてくれる未解明の事実のひとつと考えています。

「ゲノムは同じなのに、寿命はまるで違うんです。」

ボストン · インタビューより

そもそも何を狙っているのか?

ダメージなのか、発生のプログラムなのか、死亡率なのか、それとも機能なのか?Vadimは、この分野ではまだ決着がついていないと言います。とくに機能は落とし穴だ、と — トレーニングで向上し、一日のうちでも揺れ動くのに、それで誰かが生物学的に若返るわけではないからです。

「敵が何なのかを理解する必要があります — 何を狙うべきなのか?」

ボストン · インタビューより

自然にはできる。私たちにはできない。

進化は哺乳類の寿命を、約十二年から両極端へと、苦もなく動かしてきたように見えます。カロリー制限やラパマイシンでは、マウスで十から四十パーセント、人間で二、三パーセント。このずれが、私たちのメカニズムは自然のものとは違うとVadimに教えています。

「つまり、私たちが実験室でやっていることは、自然が寿命を変えるやり方とは同じではないということです。」

ボストン · インタビューより
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対話から

Vadim Gladyshev、本人の言葉で

ビデオインタビュー

ビデオインタビューは近日公開です。収録したインタビューは、映画&シリーズLive Beyondの公開後に公開します。

Vadim Gladyshevとの会話から選んだ一節です — 2024年11月、ボストンにて。読みやすさのため、軽く編集しています。

研究室で扱っているもの

Vadim Gladyshev「動物と人間、両方です。研究室にはモデル生物がいて、主にマウスですが、種を超えて、クジラやハダカデバネズミ、コウモリなんかも扱っています。それから人間も、人間のコホートもそうですし、細胞培養のレベルや組織のレベル、サンプルのレベルでも。ありとあらゆるシステムです。」

ひとつの体のなかにある謎

Vadim Gladyshev「たとえば体のなかには、たぶん二日、二、三日しか生きない細胞があります。血液の細胞なんかがそうです。一方で、一生ずっと生きる細胞もある。ニューロンや心筋細胞のように。つまり、同じ生物の細胞なんです。早い段階では同じ祖先細胞から出発していますよね?ゲノムは同じなのに、寿命はまるで違う。どうしてそんなに寿命が違うんでしょう?何が細胞を長生きさせたり、短命にしたりするのか?私たちは寿命制御の基本原理を理解しようとしています。種を超えても同じことです。長生きの種もいれば、短命の種もいる。その根拠は何なのか?」

本当の目標について

Marek Piotrowski「いちばんワクワクするのは何ですか?… 自分のメインのミッションと言えるような、具体的な目標はありますか?」

Vadim Gladyshev「いちばんの目標は、老化を理解することだと思います。それが本当に一番の目標です。というのも、繰り返しになりますが、老化を狙いたいなら理解する必要がある。理解せずに狙うことは不可能ですし、いま、老化はまだ理解されていないんです。だから、理解しているとか、狙い方を知っているとか言う人がいたら、それは間違いです。私たちはわかっていません。」

老化とは本当は何なのか

Vadim Gladyshev「私の考えでは、老化とは生きることによる負の変化の蓄積です。分子のダメージのようなものですが、それだけではありません。… 敵が何なのか、何を狙うべきなのかを理解する必要があります。ダメージを狙うべきか、それともこのプログラムを狙うべきか?あるいは機能を狙うべきか?… 私にとって、その上流にあるのは、生きていることの負の帰結です。それが変異やエピ変異、代謝の副産物、そのほかの無秩序化といったダメージを生む。そしてこの負の変化のシステムが移り変わっていく。でも、それを記述するのはとても難しいし、狙うのもとても難しいんです。」

機能が物差しとして当てにならない理由

Vadim Gladyshev「機能のことを考えるでしょう。でも機能はとても変わりやすいんです。たとえば一日のなかでの認知機能の変化を見ると、朝から晩までで十年分くらい揺れ動きます。トレーニングで認知機能を高めることもできるし、筋肉の機能を高めることもできる。それで若返ったことになるのか、ならないのか?それははっきりしません。」

休息と、日々の若返りについて

Vadim Gladyshev「もうひとつ興味深いのは、生物学的年齢が変わるように、どうやってシステムに働きかけられるかということです。ものすごく働いて、くたくたに疲れることがありますよね。本当に老けたように感じる。それから眠ったり、休暇に出かけたり、ただ休んだりすると、若返ったように感じる。だから私は、もしかすると本当に若返っているのかもしれないと考えています。でも、そのプロセスをどうやって数値化できるのか?」

自然と実験室の違いについて

Vadim Gladyshev「では、この寿命はどうやって実現されているのか?自然はどうやって寿命を変えているのか。たとえば祖先の動物、祖先の哺乳類がいて、寿命は十二年くらいだった。進化のなかで、マウスやラットのように寿命を縮めた種もあれば、クジラや人間のように延ばした種もある。自然は、遺伝子やほかのプロセスの何かを変えて、こうした寿命の劇的な変化を、どうやら簡単に成し遂げてしまう。それなのに、私たちが実験室でやろうとすると失敗するんです。カロリー制限でも、ラパマイシン投与でも、生活習慣の改善でも、何をやっても、マウスで十パーセント、二十パーセント、ときには四十パーセントくらい。人間ではもっと少ない。… つまり、私たちが実験室でやっていることは、自然が寿命を変えるやり方とは同じではないということです。」

旅への願い

Marek Piotrowski「世界をめぐる私たちの、私と息子の長寿の旅の、この先に向けて、何を願ってくれますか?」

Vadim Gladyshev「いいドキュメンタリーを作ってほしいと思います。ただ、それがとても難しいことも知っています。これまで何度もインタビューを受けてきましたが、ドキュメンタリーを作る人が来るたびに『すごいドキュメンタリーを作ります』と言うんです。でも私は『スタイルとしては、どれも同じですよ』と言う。人が旅をして、いろんな人に会って、インタビューをして、それを全部ごちゃまぜにする。老化の分野でドキュメンタリーを作るのは、本当に難しいと思います。あなたたちならできると願っています。どうやればいいのか、誰に会えばいいのか、どうメッセージを届ければいいのか、私にはわかりません。でも、どうか作ってください。」

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