LEV Foundation 会長 & CSO
生物医学老年学者 · 長寿脱出速度 & 老化の終わり
Aubrey de Grey博士は、世界で最も影響力のある生物医学老年学者のひとりです。老化を、実際に解決できる問題としてとらえ直した人物として、誰よりも大きな役割を果たしてきました。現在は LEV Foundation (Longevity Escape Velocity)の会長兼最高科学責任者を務めています。同財団は2022年に本人が設立しました。
その核心にある洞察は、老化とは生涯にわたって蓄積される分子や細胞の損傷にすぎず、損傷は修復できる、というものです。低分子化合物にできるのは新たな損傷の発生を遅らせることだけ。だからこそ老化を本当に克服するには、奇跡の薬ではなく遺伝子治療や細胞治療が必要だ、と主張します。その信念が、LEV Foundationの画期的な Robust Mouse Rejuvenation 研究を動かしています。中年期のマウスに複数の介入を組み合わせる1,000匹規模の実験で、本人の言葉を借りれば「いまこのコミュニティ全体で行われている中で、ずば抜けて重要な実験」です。
また、SENS Research Foundation を共同設立し、Ending Agingを執筆しました。この分野に損傷修復のパラダイムをもたらした本です。そして提唱しているのが長寿脱出速度という考え方。一年が過ぎるごとに、医療が一年を超える健康な人生を上乗せできるようになる時点のことです。
カリフォルニアのベイエリアを拠点にして、およそ十五年。足りないものについては率直です。足りないのは科学ではなく、意志と資金だと言います。「長寿はただの産業じゃない」と語ります。「聖戦なんです」

私たちの旅は、すべてAubreyから始まりました。最初に会ったのはダブリンのLongevity Summit。Aubreyのカンファレンスで、ちょうど世界をめぐる旅に出ようとしていたときのことです。Aubreyは世界中の科学者に私たちを紹介してくれ、その科学者たちが各地の研究室に私たちを迎え入れてくれました。数か月後にはカリフォルニア州ロスガトスの公園を一緒に歩きながら、マウスの若返りや脱出速度について語り合いました。そして2026年、私たちは再びダブリンへ。今度はマレクがステージに立ち、友人として再会しました。
「この旅を支えてくださって、ありがとうございます」——「喜んで。もちろんですよ」
— Marek Piotrowski & Aubrey de Grey、ロスガトス




「私たちが十分に努力していないのは、何千年にもわたる心理的な否認があったからです」
Aubrey de Grey · カリフォルニア州ロスガトスいつも心に留めて、強調しなければならないのは、寿命は健康寿命の副産物だということです。健康でいることで、生き続けられるんです。
Aubrey de Grey低分子化合物、つまり医薬品にできるのは、本当のところ、新たな損傷の発生を調整することだけです。…老化には、低分子化合物ではとうてい対処できない側面がたくさんあって、そこには間違いなく遺伝子治療や細胞治療が必要になります。
Aubrey de Grey最初の20年ほどを手に入れられれば、難しい部分は終わったことになります。それで実際に、長寿脱出速度にたどり着けると思っています。
Aubrey de Greyビッグファーマは悪者ではありません。FDAも悪者ではない。政府でさえ悪者ではありません。本当の悪者は私たち、科学者なんです。予防医療の必要性を、十分に強く訴えてこなかったのですから。
Aubrey de GreyダブリンのLongevity Summitで、そしてカリフォルニア州ロスガトスでの散歩中に交わしたAubreyとの会話から。その科学、アプローチ、そして世界へのメッセージ。
老化は修復できる損傷です。それを克服して「長寿脱出速度」に到達するには、奇跡の薬ではなく、遺伝子治療と細胞治療が必要になります。
「老化には、低分子化合物ではとうてい対処できない側面がたくさんあって、そこには間違いなく遺伝子治療や細胞治療が必要になります。だから、今からそれを取り入れなければならないんです」
ロスガトス · 2024年LEV Foundationが行っているのは、この分野でいちばん大胆な実験です。1,000匹のマウスに、中年期から複数の治療を組み合わせる。ほかの誰も踏み込まない領域です。
「今のところ、ものすごくいい感じです。組み合わせの効果が積み上がっているように見える。どの単独の介入よりも良い結果が出ています」
Robust Mouse Rejuvenation障害になっているのは生物学ではなく、数千年にわたって続いてきた諦めです。呼びかけているのは、理性的になって、取りかかろうということ。
「私たちはただ、もっと理性的になる必要があるんです。人類は文明の夜明けからずっと、老化について、老化に何もしないことについて、言い訳をし続けてきました」
ロスガトス · 2024年ビデオインタビューは近日公開です。収録したインタビューは、映画 & シリーズ、Live Beyondの公開後に公開されます。
Aubrey de Grey博士との会話からの抜粋です。ダブリンのLongevity Summit(2023年)と、カリフォルニア州ロスガトスでの散歩中(2024年)に収録しました。
Marek Piotrowski「聞かせてください。そちらでは、この七か月の間に、研究や活動でどんなことがありましたか?」
Aubrey de Grey「本当にとても順調です。八月にあなたたちがダブリンに来たとき、私たちは1,000匹のマウスを使った大規模な実験を始めて、だいたい六か月が経ったところでした。単独で有望な治療をいくつも組み合わせたときの効果を、中年期のマウスで調べる実験です。マウスはすでに通常の寿命の三分の二を過ぎています。そこからどれだけ寿命を延ばせるか、もちろん健康な寿命も、ということです。…今のところ、ものすごくいい感じです。組み合わせの効果が積み上がっているように見える。どの単独の介入よりも良い結果が出ていて、とても勇気づけられています。ほかの介入や別の組み合わせでも、こういう実験をもっとやる必要があるのは確かですが、素晴らしいスタートです。とても有望です」
Aubrey de Grey「私たちの研究が世界のほかの場所で行われている研究と大きく違うのは、食事から摂れるものに限定していないことです。…私たちは、いや、化合物だけでなく遺伝子治療や細胞治療にも踏み込むべきだと決めました。それをやっているのは私たちだけです。だからこそ、一ドルあたりに得られる情報量という点で、私たちの実験は、いまこのコミュニティ全体で行われている中で、正直なところずば抜けて重要なものだと考えています。…老化とは何か、さまざまな種類の分子や細胞の損傷の蓄積という意味で何から成り立っているのか、今ではかなりよくわかっています。だから、低分子化合物、つまり医薬品にできるのは、本当のところ新たな損傷の発生を調整することだけだとわかっている。…老化には、低分子化合物ではとうてい対処できない側面がたくさんあって、そこには間違いなく遺伝子治療や細胞治療が必要になります。だから、今からそれを取り入れなければならないんです」
Aubrey de Grey「これひとつ、というものはありません。資金面の魔法の特効薬もない。この20年やってきたことを、ただ続けていくしかないんです。繰り返しの広告と呼んでもいいかもしれません。基本的には同じ話を、どんどん力強く伝え続けること。一歩前に進むたびに、話はより説得力を増し、より心に響くものになって、全部SFで絶対にうまくいかない、なんて言うことがますます難しくなるからです。…いずれ、ある種の転換点が来ます。人々が、もう十分わかった、と感じる時点です。それは本当に突然の転換点になるでしょう。群集心理という現象があるからです。オピニオンリーダーたちが一定数そろって何かを言えば、みんながついていく。それはほんの二、三年先かもしれません。でも、私はしばらく前からそう言い続けているんですけどね。…まあ、私は希望というものは持たないんです。ただコツコツ続けるだけ。かかるだけの時間はかかります」
Aubrey de Grey「十年というのは、生物医学の技術ではとてつもなく長い時間です。だから、そんなに先のことを予測するのは私にはとても難しい。ただ、名前以外はほぼすべての点で、老化という問題を基本的に解決している可能性は高いと思います。言い換えれば、老化を医学的な問題としてとらえる世の中の意識が閾値を越えて、老化に対する全面戦争が起きている、という状態です。10年後にその地点に達している確率は80%と言っておきましょう。10年後に実際に長寿脱出速度に達している確率は20%、もしかすると30%。確率が50%になる時期は、今から12年から15年後だと見ています。つまり、それほど先ではありません。それはつまり、種として、人類全体として老化を治そうと本気で取り組んでいるだけでなく、実際に成功して、一年が過ぎるごとに晩年の健康問題を一年ずつ先送りできる地点に達するということです」
Aubrey de Grey「ビッグファーマのインセンティブ構造について言われていることは、単純化しすぎです。ビッグファーマがお金を稼ぎたいのは確かです。でも、短期的にも長期的にも、どうやって稼ぐかについては賢く考えています。…私たち医療の専門家は、予防医療の必要性を十分に強く訴えてきませんでした。そこが変わらなければならないし、変わるでしょう。やがて、実は予防こそが進むべき道だと人々が理解して、喜んでお金を払いたいと思う時が来ます。そして人々がお金を払うようになれば、ビッグファーマは笑顔でそのお金についていきます。…ビッグファーマは悪者ではありません。FDAも悪者ではない。政府でさえ悪者ではありません。本当の悪者は私たち、科学者なんです。予防医療の必要性を、十分に強く訴えてこなかったのですから」
Aubrey de Grey「人によって、心を動かされるものは違います。でも基本的に私が言いたいのは、私たちはただ、もっと理性的になる必要がある、ということです。人類は文明の夜明けからずっと、老化について、老化に何もしないことについて、言い訳をし続けてきました。そうするしか、老化を頭から追い出して、当時は老化に対して何もできなかったという事実から目をそらす方法がなかったからです。それが変わったのは、本当にここ25年ほどのこと、基本的には私が現れてからのことです。…今の私たちは、老化を包括的に医学でコントロールできるようにする技術を、どう開発すればいいのか知っています。それなのに十分に努力していないのは、何千年にもわたる心理的な否認があったからです。…いつも心に留めて、強調しなければならないのは、寿命は健康寿命の副産物だということです。健康でいることで、生き続けられるんです」
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