ストーリー · 2025

長寿世代を育てる

18歳の息子を長寿クリニックに連れていく理由

健康リテラシーを、読み書きや算数と同じくらい真剣に考えてみたらどうでしょう?息子のアレクサンダーが18歳になったとき、私は彼を長寿クリニックに連れていき、MRI、DEXAスキャン、バイオマーカー検査を受けさせました。そうしたのは、息子が…まったくの健康体だったからです。

長寿医療というと、いまだに多くの人が、すでに体調を崩してから頼るもの、つまり50代以上の人向けのニッチなサービスだと考えています。私の見方は違います。長寿医療は、高齢者のための後追いの医療であってはなりません。次の世代のための先回りの教育であるべきです。早いうちに自分の体を理解し、まだ症状のないうちにリスクを見つけ、何十年という時間を味方につけて習慣を築いていく方法なのです。

だからこそ、私は18歳の息子を長寿クリニックに連れていきます。二年前、長寿をめぐる旅の途中で、私たちは三つのクリニックを訪れました(シンガポールのChi Longevity、サンフランシスコのHuman Longevity Inc.、ワルシャワのLongevity Center)。

世代の決断

私にとって長寿とは、自分の寿命を延ばすための個人的なプロジェクトではありません。世代の決断です。現代医療の多くが、30年、40年と積み重なったダメージ、つまり何年もかけて身につき、思春期から強化されてきた習慣をなかなか元に戻せないとわかっているなら、待つことにはほとんど意味がありません。この旅では、多くの科学者や医師とこのことについて話しました。Jeff Chewが指摘したように、医療はしばしば、十代にまでさかのぼる深く根づいたパターンを覆そうとします。十代は、健康やリスク、さらには長寿の意味についての考え方が、驚くほど根強く残りうる時期なのです。

HLIで全身MRIを見つめるアレク

Jeffによれば、思春期はアイデンティティが形づくられる時期です。この時期に若者が受け入れる物語、たとえば長寿は現実的なのか作り話なのか、予防は大切なのか、体は理解すべきものなのか無視していいものなのか、といった考えは、信頼できるエビデンスや経験によって揺さぶられないかぎり、何十年も残り続けることがあります。長寿の原則を早いうちに取り入れれば、そうした行動が大人になっても続き、健康を軸にした揺るぎないライフスタイルとして定着する可能性が高まります。

早く始めることには、生物学的な根拠もあります。Vittorio Sebastiano 博士は、老化は目に見える兆候が現れる40歳、50歳、60歳で始まるという一般的な思い込みに異を唱えました。彼の考えでは、老化は生まれたその日から、もしかすると胎児のうちから時を刻み始める時計です。初めのうちは、強力な代償機構がその影響を覆い隠しています。時間とともにその仕組みが少しずつ弱まり、そこで初めて私たちは老化に「気づく」のです。もしそれが本当なら、健康を意識するのが中年になってからでいいという理屈は成り立ちません。症状が出るずっと前から、その軌道はもう動き出しているのです。

心理学者のYochai Shavitは、自分の所属機関がなぜCenter on AgingではなくCenter on Longevityと名乗っているのかを説明しながら、同じような点を指摘しました。焦点は人生全体にあるのです。お腹の中にいるとき、生まれてすぐ、そして人生の最初の数年に起きることは、長期的な健康にとって、65歳以降に起きることと同じくらい、あるいはそれ以上に大切かもしれません。この視点に立てば、長寿は人生の終わりのための戦略ではありません。人生全体のための戦略です。

社会起業家の Tina Woods は、さらに踏み込みました。長寿について考えるのは、生まれる前からでなければならないかもしれない、と言うのです。本人の言葉では、「親がすること、そのライフスタイル、暮らしている状況、下す選択、環境。そういうものが、あとになって子どもに現れるんです」。

息子を世界中のMRI装置やDEXAスキャン、DNAシーケンシングのラボ、先進的なクリニックに連れていくのは、この考え方をそのまま実践しているにすぎません。老化が途切れなく続くものであり、習慣が早いうちに固まり、待てば待つほど予防が飛躍的に難しくなるのなら、18歳は早すぎません。むしろ、もう十分に遅いのかもしれません。長寿とは、変化がまだ簡単で、速く、力強いうちに、自分の軌道を形づくり始めるための意識とデータとマインドセットを息子に手渡すことなのです。

ともに学ぶ父と息子 — ニュージーランド

早く測ることの力

たいていの人が詳しい検査を受けるのは、コレステロール値の上昇、なかなか落ちない体重、慢性的な疲れといった警告サインが出てからです。測定は、何かへの反応になってしまいます。18歳なら、測定は情報になります。DEXAスキャンは衰えを正すためのものではなく、基準値を知るためのものです。バイオマーカーは危険信号ではなく、何十年先の未来まで続く地図の上の座標なのです。

体組成のデータ、炎症マーカー、血糖値のパターン、遺伝的な素因。そうしたものを、何かが「おかしく」なる前にすべて見ておくと、健康の捉え方そのものが変わります。老化は遠い抽象的な話ではなくなり、追いかけて調整できるものになります。睡眠、食事、トレーニング、ストレス管理、心のレジリエンスにおける小さな変化も、早く始めれば時間とともに積み重なっていきます。症状を待つのではなく、目に見えないリスクが何年も水面下に潜んでいることを、若い人たちが自分の目で確かめられるのです。

医師の David Karow によれば、私たちの命を最終的に奪う病気の多くは、突然やってくるわけではありません。10年から30年かけて前駆状態の中で進行し、そのあいだ本人は何ともないと感じていても、体の根っこのところではすでに変化が起きています。この症状が出る前の時期こそ、発見と介入がいちばん大きな違いを生む時期だと彼は言います。がんがある日突然現れることはめったになく、多くの場合五年から七年、あるいはそれ以上かけて進行しているのに、効果的な手を打てるほど早く見つからないだけなのだそうです。同じように長い時間軸は、アルツハイマー病のような神経変性疾患にも当てはまり、病的な変化は症状が出る20年から30年前に始まることがあります。つまり介入するチャンスはあるのに、ほとんどの人がそれを逃しているのです。そして典型的な例として挙げたのが冠動脈疾患でした。55歳で心臓発作を起こした人について、「あんなに健康だったのに」と語られることがよくあります。警告サインは出ていたのに、測られず、気づかれず、調べられなかっただけなのです。

予測医療が長寿の分野で最も重要なフロンティアのひとつになりつつあるのも、そのためです。生物学者の Craig Venter は、ゲノム医療の目的は、個人のゲノムをその表現型と合わせて読み解き、病気のリスクをよりよく予測することだと主張しました。臨床医が症状のない人に初期段階の病気を見つけ始めると、早期発見が命を救いうることがはっきりしてきました。たとえばがんの場合、症状が出るころには病気がすでに進行していることが多く、死亡リスクは劇的に高まります。言い換えれば、症状がないことは、病気がないことを意味しないのです。

18歳にとって、この知識は物の見方をすっかり変えます。健康はもはや病気か健康かの二択ではなく、毎日の選択によって形づくられるグラデーションになります。睡眠は代謝マーカーに影響します。トレーニングはインスリン感受性を左右します。食事は炎症のシグナルを変えます。ストレスは測定できる痕跡を残します。いまのライフスタイルが、何十年も先を予測するバイオマーカーをどう形づくるのか。それを若い人たちが目にすれば、予防は道徳のお説教ではなく、合理的な戦略になります。

Tina Woodsが言うように、こうした考え方は「まさに最初の日から、いや、最初の日よりも前から」始めなければなりません。若い人たちに見せるべきなのは、不健康のリスクだけではなく、健康を保つことのチャンスと恩恵です。健康とは、彼女の言葉を借りれば「より長く、より健康で、より幸せな人生へのチケット」。エネルギーをくれます。選択肢をくれます。

Buck InstituteでEric Verdinと

それが、早く測ることの力です。健康を当て推量から長期的な計画に変え、変化がまだ簡単で、選択肢がまだ大きく開かれているうちに、結果を左右するための何年もの、ときには何十年もの時間を与えてくれるのです。

発見から、介入と遅延へ

次の問いは、検査やスキャンやスクリーニングで集めた情報をどう使うかです。データだけでは健康寿命は延びません。ここで長寿クリニックは、少なくとも優れたクリニックは、単なる検査センター以上のものになります。予防の拠点として機能するのです。早い段階のシグナルを一人ひとりに合わせた介入へとつなげ、私たちがいまだにあまりに遅くなってから治療している病気を遅らせ、ときには防ぐための場所です。目に見えないリスクを見えるようにしてくれます。そして医療を、手遅れになってからの危機対応から、ライフスタイルの改善や的を絞った介入、丁寧なモニタリングがまだ本当に効く早い段階での予防へと移していきます。

ワルシャワのLongevity CenterのJoanna Benszは、「患者」ではなく「クライアント」という言葉をあえて使っていると話してくれました。その違いが大切だからです。人が長寿クリニックに来るのは、急な病気を抱えているからではなく、自分の健康を最適化し、いま自分がどこにいるのかを知りたいからです。目指すのは一人ひとりに合わせた道のりをデザインすることで、検査、テクノロジー、サプリメント、ライフスタイルへの介入、そして必要なら薬といった、すでに手に入るものを組み合わせて、実際に結果を動かすことなのだと彼女は言います。

それでも、これはまだ始まりにすぎません。いまのクリニックは、主に測定と予防と遅延のためのものです。明日のクリニックは、まったく別のものになるかもしれません。遺伝子治療や部分的なエピジェネティック・リプログラミングがこれからの十年で期待どおりの成果を上げれば、長寿医療は老化を遅らせることから、細胞の状態をもっと直接的に変えることへと移っていくかもしれません。予防から、ラディカルな寿命延長の初期の時代へと進んでいくのです。

長寿の文化をつくる

私たちがLiveBeyond Projectを立ち上げたのも、そのためです。映画のアイデアとして始まったものが、すぐにもっと大きなものになりました。長寿の文化を当たり前のものにするという、シンプルな目標を軸にした、世代を超えてインスピレーションを届けるプラットフォームです。ニッチなこだわりでも、ぜいたく品でも、老化への恐れから生まれた反応でもなく、家族が何十年にもわたって健康やエネルギー、レジリエンス、喜びについて考えるときのごく自然な一部として。長寿がクリニックや会議、内輪の会話の中に閉じ込められたままでは、本来あるべき姿、つまりみんなで共有する社会の変化には決してならないからです。

長寿がクリニックや会議、内輪の会話の中に閉じ込められたままでは、本来あるべき姿、つまりみんなで共有する社会の変化には決してなりません。予防は世代の強みです。自分の基準値やリスク、変化を起こすための手立てを早く理解すればするほど、結果を形づくるための時間が増えます。教育やスポーツやキャリアプランを当たり前にしているのと同じくらい自然に、それを当たり前にするのが早ければ早いほど、私たちは皆、より健康に、より長く、より力強く生きられるようになるのです。

Marek Piotrowski、長寿アドボケイト ↗